日米いずれも抑うつ評価尺度の分布は同じ数理パターンを示す(論文紹介)

今週下記の論文が掲載されました。パチパチ。

Tomitaka, Shinichiro, and Toshiaki A. Furukawa. "Mathematical pattern of Kessler psychological distress distribution in the general population of the US and Japan." BMC psychiatry 21.1 (2021): 1-9.

 

どんな内容かというと、日本と米国の一般人口におけるストレス評価尺度K6の分布を調べたのですが、いずれのデータでも総スコアの分布は指数分布に従うということです。

 

国や地域に関係なく、抑うつの分布は同じ数理パターンの分布を示すということです。抑うつ症状が形成されるメカニズムはどの国でも同じなので、当然分布の数理パターンも同じ指数分布を示すということなのでしょう。

 

なお、心理統計学では正規分布をモデルにすることが多いのですが、抑うつ評価尺度のスコアは一般社会において指数分布を示します。なぜ指数分布を示すのかについては、追々説明していきたいと思います(今すぐに理解したい人は包括的に説明しているこのサイトを見てください。分量が多いので大変ですが)

 

なおこの研究で利用したK6というのは、Kesssler distress scaleの略です。この尺度はうつ病や不安障害の評価尺度としてよく使われます。ちなみに日本版K6は、この論文の共著者の古川 壽亮先生によって初めて作成されました